ロマネ・コンティとほぼ同じ土壌から生まれたワイン
一度だけ1994年のものを飲んだことがある私も、名前を聞くとその味わいよりも先に「超高いワイン」という文字が頭に浮かんでしまう。
そもそも、ロマネ・コンティとは、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ(DRC)社が単独所有するフランスのブルゴーニュ、コート=ドール県・ヴォーヌロマネ村にある、約1.8ヘクタールのグラン・クリュ(特級格付け)のピノ・ノワール種のブドウ畑、または、その畑で生産するブドウから造ったブルゴーニュワインのことである。
素晴らしいワインであることは、世界中の人々が認めているけれど、なかなか人生で何度も飲めるワインではない。
だからこそ、そんなロマネ・コンティに近い味わいを1万円前後で楽しむことができるとして、カリフォルニアのロマネ・コンティことカレラのピノ・ノワールや、オーストラリアのロマネ・コンティことコールドストリームヒルズのピノ・ノワールに注目が集まる。
人気ワインコミックにて、「ロマネ・コンティを超える極上ピノ・ノワール」として登場したことが、コールドストリームヒルズのピノ・ノワールがオーストラリアのロマネ・コンティと呼ばれるきっかけとなった。
そして、実際にロマネ・コンティで修行をしたカレラ・ジェンセン氏が、受け継いだ苗木をカリフォルニアの地で育てたというカレラのピノ・ノワールが、カリフォルニアのロマネ・コンティと呼ばれるきっかけである。そのストーリーを聞いて、コールドストリームヒルズと同じオーストラリアのヴィクトリア州に位置するヤラバレーのワイナリー ピンパネル ヴィンヤードの醸造家ダーミエンとの話を思い出した。
17歳の頃、ヤラバレーの名門ワイナリー ヤラヤリンでブドウ収穫のアルバイトを始めたダーミエン。気が付けばすっかりブドウ栽培・醸造という分野に魅了され、アルバイトだった彼は、数年後にヤラヤリンの醸造長へと登りつめた。醸造を学ぶ過程で、彼の恩師から毎日のように味覚と知識を研ぎ澄ますために異なる産地のワインのブラインドティスティングを課せられたという。
彼の一番の好みは、いつもブルゴーニュのヴォーヌロマネ村のピノ・ノワールだった。2008年、ヤラヤリンを後にした彼は、自分のこれまでの経験を全て表現できるワインを造ろうと決意してピンパネル ヴィンヤードの醸造長に就任。ダーミエンの新しいワイン造りは、土壌を作ることから始まった。
ブルゴーニュのヴォーヌロマネ村にあるロマネ・コンティの畑へ出かけ、土壌やライムストーンを調べ、土壌学者の助けを得て、性質がロマネ・コンティの畑とほぼ同じ土壌を手に入れた。ワインの発酵には、ブルゴーニュ・サンロマンに本拠を置き、DRC社で使用されているフランソワ・フレール社の樽を使用。現在では、フランソワ・フレール社の方が、はるばるフランスからダーミエンを訪ねるほど、彼の造るワインにすっかり魅了されているご様子。
私は、このダーミエンの造るピノ・ノワールを飲んで、ハッと数年前にロマネ・コンティを飲んだその味わいを思い出した。
栽培から醸造まで彼のピノ・ノワールに傾ける情熱を耳にしてすぐに口にしたワインは、私にとって何百万円もの価値があるように思えた。実際に何百万円もしたら手が出ないのだが、彼のワインは1万円少しで手に入る驚きのコストパフォーマンスである。
そんな彼の造ったエントリークラスのピノ・ノワール(ヒルロード ピノ・ノワール)は、WINE LIST*にて8,800円で購入可能。
私がロマネ・コンティを思い出した彼の特別なピノ・ノワール(ピノ・ノワール1、ピノ・ノワール2、ピノ・ノワール3)が日本に届く日もそう遠くないはず。
WINE LIST*https://winelist.jp/