あるワインの顧客満足度調査分析
例えば、白ワイン(デイリーワイン1000円代)の試飲フェアを実施したとします。そのアンケート結果から、お客様は白ワインに何を求めているのかを、今回ある手法で分析してみたいと思います。
(*数値は実際のデータではありません)
まず、アンケートで、「総合満足度」と、いくつかの「個別項目の満足度」を設定します。全て5点満点で、総合満足度と、個別満足度の項目(香り、辛口、酸味、アルコール度、飲みやすさ)を設定します。
その項目に沿って、上記の回答データが得られたとします。
こちらを前提に今回、話を進めていきたいと思います。
どの項目が、どのくらい総合満足度に影響を与えているのか
ここからが本題です。これらの「総合満足度(オレンジ色)」と「個別満足度(ブルー色)」の関連性を調べて、関連性が強い項目であれば「重視されている項目」、関連性が低ければ「重視されてない項目」と判断する方法で考えてみたいと思います。
この総合満足度と、各項目の数字において、まず「相関係数」を求めていきます。相関係数とは2つの変数の間にどのような関係があるかを数値的に示したもの。具体的に言うと、総合満足度の点数に最も影響を与える個別項目は、どの評価項目なのか、またそれはどのくらいの影響度があるのか、逆に最も影響がない項目はどの評価項目なのかということを数値化したものです。
結果が出ました。下の表データ②の黄色の数値が相関係数になります。
結論として、「香り」「辛口」「飲みやすさ」は総合満足度に対して、正の相関があり、一番強いのは「香り」と出ました。逆に、「酸味」「アルコール度数」の2項目は、総合満足度とほとんど関連性がない、という結果になりました。
何でもグラフ化して視覚化するとシンプルに分かるもの
この数値だとまだ分かりにくいので、グラフで分かりやすくしたいと思います。
次にこの2列の数値を散布図にし、それぞれの項目のスコアが、この2つの平均値よりも上回っているのか下回っているのかに注目したいと思います。
つまり、各項目の「相関係数」「満足度」の値が、平均よりも上回っているのか下回っているのかで4つの領域に分けるのです。
(各数値の平均ラインには赤字点線を入れました)
そうすると、右下、つまり横軸の相関係数が高く(総合満足度への影響が強く)、かつ縦軸の各項目の満足度平均よりもスコアが低いものが、一番戦略的に改善すべき評価項目だということが分かります。逆に左上は、影響度も低く、満足度も高いので特にケアしなくてもよい項目だということも分かります。
今回のアンケート結果の数字から読み取れることは、辛口で飲みやすいということではなく、実は「香り」の満足度アップが総合満足度アップ(購入意向アップ)へのカギになるという分析でした。例えば「香り」の良さを強調した白ワイン試飲フェア企画などがいいというアイディアに繋がるかもしれません。
今回は架空のアンケートデータなので、実際はもちろん違うデータになると思いますが、このような方法で分析することで、ワインのライフスタイルが愉しくなるヒントが生まれるかも、と思いました。
以上、ワイン総合評価の重要項目を、各項目評価との相関係数から求めてみる、でした。