ディナーは5500円と7000円、2つのコースがあります。私たちのチョイスは5500円の「銀座ごはん」でした。
アミューズにチーズが入った小さなシュークリームと冷製の豆のスープが出ました。サクッとしたシューにほのかな甘みのあるクリームチーズのマリアージュ。ああ、これはいかにもシャンパーニュに合いそうです。
グラスのシャンパーニュが1500円、ワインは赤も白もグラス1杯1000円です。まずはシャンパーニュといきたいところです。しかるに! お仕事中ということで、ぶどうジュースでカンパイしました(涙)。
以下は筆者のチョイスです。前菜はフランス風ベニエ、ずばりエビ天です。でもコロモが違います。どちらかといえばフライよりも天ぷらに近い。でも、天ぷらよりパリッとしています。ソースはピリ辛風にも見えます。タイ料理に似たのがある気がします。実際はぜんぜん辛くはありません。パリッとしたコロモにプリッとしたエビの感触。口中にプリップリ感が広がります。中華料理に似たのがありますが、あれよりコロモがとにかくパリッとしています。パーリパリッのプーリプリッ! ふと落語の「たらちね」を思い浮かべます。白ワインに合いそうです(涙)。
メインはステーキ・フリットを選びました。レ・コパンの名物料理に位置付けられています。ステーキ・フリットはフランス人にとっての「ソウル・フード」、とこのお店の案内書きにあります。フランス人はじつはヨーロッパでもステーキ好きで、2013年のデータだと牛肉の年間消費量はEUで一番多い23.7kg。2番のイギリスの15.7kg、ドイツの13.5kgを引き離しています。ちなみに日本人は9.0kgにとどまります。
ところが、出てきたのはステーキというよりシチューのような雰囲気です。でも、フランスのステーキはこういうものだそうです。これでシェフはフライパンで焼いているそうです。肉はUSビーフのハラミです。赤身でとても柔らかくて、香辛料の実が入った赤ワインのソースが贅沢にかかっていて、ステーキといっても牛肉だけを味わうのではなくて、ソースとのマリアージュを楽しむ感じです。
もちろんハラミ肉の濃厚な味をたっぷり味わうこともできます。焼肉で食べるのとは厚みが違います。なにより歯ごたえがあります。肉汁の味がします。和牛のトロける甘さの対極にあります。ソースは濃厚そうで、一見田舎料理風だけれど、ぜんぜんあとをひきません。洗練されていて都会的です。アメリカのステーキだとビールもアリですが、フランス式ステーキであるところのこれはやっぱり赤ワインが合いそうです(涙)。
付け合わせのぶっとい四角柱に切られたフライド・ポテトはホクホクで、油をまったく感じさせません。まるで蒸かしたジャガイモみたいです。それでいて外側にパリッとした硬さがあります。揚げたてのアツアツです。細く切ってあげたサックサックのフライド・ポテトは、あれはあれでおいしいけれど、う〜む、こんなフリットは初体験です。世界屈指のぶっとさです。グリコのポッキーの高いヤツみたいです。
前菜もメインも、シンプルなビストロ料理なんだけど、緊張と緩和というような二項対立がひとつの料理のなかにしのばせてある、そういうシェフの意図が伝わってきます。おばあちゃんの手料理のレシピを現代のプロの料理人がつくったという感じ。プロがつくってます。当たり前です。落ち着きと安心感、伝統のなかに現代風の軽みがあります(個人の感想です。当たり前ですね)。
デザートはパンナコッタをいただきました。上にイチゴのソースが載っています。上品な甘さで、いくらでも食べられそうです。
最後にエスプレッソと小さなお菓子、トリュフ・チョコレートとゼリーでおしまい。お腹に余裕のある場合はチーズといきたいもんです。
シャンパーニュと白、赤グラス1杯ずつ飲んで、だいたい1万円。ビストロといっても洗練された高級フレンチみたいでした。さすがトゥール・ダルジャン、ホテル・ド・クリヨンでシェフをつとめたドミニク・ブシェさんです。
それにしても・・・ワインなしのフレンチなんて、古いたとえでいえば、クリープのないコーヒーなんて、ダバダ〜〜。違いがわかる男である。最近のたとえでいえばコーヒーフレッシュのないコーヒーなんて、入れないですね、そんなの最近は。ともかく次回はワイン付きで報告したい。ワイン、ワイン、ワインがなくちゃWINE-WHAT!?も始まらない。今回は臨時速報でした。