鰹にピノ・ノワールを合わせて
店主の石田伸二さんとソムリエの飛田泰秀さんは、パリの日本料理店で意気投合した。二人が目指すのは会席料理をワインとともに楽しむ店で、今回は秋のお勧めペアリングを披露してくれた。
1品目は渡り蟹。蒸した渡り蟹を焼いて八方地に漬けたナスと、炭であぶった湯葉とともに三杯酢で仕立てた。これには『クレマン・ダルザス・サン・シュルフィト・アジュテ 2016年』(ピエール・フリック)を合わせて。
「渡り蟹の甘味と旨味に、リースリング由来の旨味、ミネラル感を合わせ、さらに三杯酢の味わいにクレマンらしい酸味が同調します。またヴィンテージによって品種の比率は変わりますが、この年はピューレにした大豆のような風味を醸し出すピノ・ブランも使用しているので、あぶった湯葉も添えてみました」と飛田さん。
2品目は脂ののった戻り鰹を使用した秋らしいひと品。
「鰹の皮目に塩・コショウをふり、藁でいぶしています。上から芽ネギやミョウガ、キュウリなどの野菜を刻んでのせ、太白胡麻油と割醤油を合わせたもので味つけします」と石田さん。
これには果実味と良い意味で野菜のような青さを感じる『ピノ・ノワール 2015年』(クリスチャン・ビネール)を選んだ。鰹の鉄分の風味が、赤ワインや醤油の発酵の香りや旨味と合う。「アルザスワインは辛口から甘口まで多様性があり、和食との親和性も高いです」と飛田さんは汎用性の高さも語ってくれた。