素材と響き合うリースリングとピノ・グリ
パリ本店も含めて17年間、ピエール・ガニェール氏のもと感性を磨いてきたエグゼクティブシェフの赤坂洋介さん。
「ガニェール氏の料理は年々味わいも、盛り付け方もシンプルになっています。ただし、その中にも必ずアクセントがあります」と赤坂シェフは師の進化について語る。
秋の新作1品目の主役は毛ガニ。蕪のコンソメをからめた毛ガニにセロリとウニを添え、ライムの皮の風味をアクセントに。小さな毛ガニのムースは、シャンパーニュのジュレで酸味のコーティングを施している。これには『リースリング・クロ・ヴィンスヴュール2015年』(ドメーヌ・ツィント・フンブレヒト)を合わせて。
「このワインの果実感は甲殻類や野菜の甘味と、しっかりした酸味はライムの皮やキャヴィアと合います」とソムリエの杉本康隆さん。
2品目は熟成豚の香ばしいグリエ。イカやキャベツといった異なる食感を添え、アンチョビで塩味を加えた甘めのビガラードソースをからめている。これには力強い味わいの『アルザス・グラン・
クリュ・メンヒルベルグ・ピノ・グリ 2016年』(マルク・クライデンヴァイス)がお勧め。
「このピノ・グリはふくよかな果実味とミネラル、酸味がきれいに出ており骨格がしっかりしているので、白身の肉と同調します」
ワインのアフターの苦味もこのソースと相乗効果を発揮し、ガニェール流による豚肉との楽しいペアリングとなっている。