安くて美味しいワイン酒場を見つけたい
美味しいワインを立飲み屋感覚で気軽に飲める店が欲しい。昔からそう思っていた。
フレンチレストランでソムリエの話を聞きながら、感動的なペアリングを楽しむのもワインの醍醐味だと思うが、もっと気軽に日常的に楽しみたいと思うのは、おそらく多くのワイン好きの本音だ。
1日の仕事を終えて、ふらーっと立ち寄った店で、美味しいワインと美味しい料理が楽しめれば、どんなにいいか。だいたい、普通のサラリーマンにとっては、フレンチレストランでワインペアリングなんて贅沢は、頑張ったって年に数度楽しめるかどうかだ。
というわけで、安くて美味しいワイン酒場を求めて放浪する日々を始めることにした。
サラリーマンの聖地で見つけた、ごきげんキャベボナーラ
まず目をつけたのがサラリーマンの聖地、新橋。ご存知だろうか、実はここ、B級ワイングルメ天国なのだ。安くて美味しいワインバーや、ワインの飲める洋食店などがとても多い。ちなみに「新橋 ワインバー」とググってみたら、なんと14,300,000件がヒットした。
そんな新橋で見つけたワインめしが、「キャベボナーラ」と「ハンバーグ」。「こやまん家」というカウンターとテーブル席一つだけの小さな洋食屋のメニューだ。
「キャベボナーラ」は、キャベツの千切りをパスタの代わりにして作ったカルボナーラ。カルボナーラは大好きなのだが、最近は糖質を気にして我慢していた。しかし、キャベボナーラなら安心。ヘルシー。ベーコンのコクと脂が、キャベツに旨味をもたらす。この組み合わせは、むしろパスタよりもいいのではないだろうか。ごきげんなうまさだ。
ワインとの相性もいい。シャルドネもいいが、ここはピノ・グリージョを勧めたい。コクのある味わいが、キャベボナーラの旨味をさらにリッチにする。
一手間が生み出す恍惚のワインめし
こやまん家は肉料理も充実している。ステーキやカツレツも人気だが、特に「ハンバーグ」は逸品。粗挽きのひき肉をていねいにこねた自家製だ。かなりの粗粗ハンバーグで、肉の歯ごたえをしっかりと感じることができる。肉好きには満足度が高い。
デミグラスソースもうまい。コクは深いがしつこく感じることはない。むしろあっさりと食べられる。カベルネ・ソーヴィニヨンを合わせた。思った通りの相性。
ワインリストを見ると、シラーズとバルベーラがあった。なるほど、シラーズもバルベーラも合いそうだ。この店、ワインの種類は多くはないが、料理に合わせて厳選しているのだろう。もちろん値段もリーズナブル。グラスワインは、銘柄はおまかせだが480円。ボトルは2,980円〜4,980円が中心、シャンパーニュは10,000円。
気軽に飲めて、本格的な美味しい料理が味わえる。まさに理想の店じゃないか。どの料理も、ていねいに仕上げられていて、フレンチやイタリアンの一流店にも引けを取らないんじゃないだろうかと思う。
食材にコストをかけない分、手間暇を惜しまない。「こやまん家の枝豆」というメニューがあるのだが、枝豆の皮を全部むいて、取り出した豆にオリーブオイルを和えて黒胡椒を振った料理。皮をむくだけでも相当手間だろうなと思う。普通に茹でた枝豆でも十分うまいのだろうが、そこに一手間かけることで、こやまん家らしさが生まれる。ここでしか食べられない料理が生まれる。
まさに恍惚のワインめし。今宵もキャベボナーラとハンバーグで一杯、いってこようかな。