「秋田で一番おいしい居酒屋よ」。
秋田を訪れた私たちに、そう言ってこの店を紹介してくれたのは、地元在住の女性フォトグラファー。
秋田の繁華街中通にある木造のこじんまりした店だ。
中に入ると満席。活気がある。予約をしていなければ入れなかっただろう。
手書きのメニューは、お刺身や天ぷらなど、居酒屋らしい和食が中心だが、ピザやパスタ、ソーセージなどもある。
和洋折衷の創作料理と言ってもいいかもしれない。酒盗のピザ、柚子こしょうのピザなど、初めてお目にかかるメニューもあった。
酒盗をピザの具にする発想に、最初は驚いたが、アンチョビと似ていると思えば、その意外な組み合わせにも納得する。
実は、酒盗とチーズの相性は抜群にいいのだ。
やはり、ここはワインだろう。
3000円台のリーズナブルでおいしいワインが揃っている。グラスワインは400円台。
カリフォルニアの赤で酒盗ピザを堪能。
そもそも酒盗は、これを肴にして酒を呑むと、酒が進み、「盗まれるように酒がなくなっていく」あるいは「酒がなくなると盗んででも飲みたくなる」から、その名がついたと言われている。
日本酒もおいしそうな銘柄が揃っているようだし、この後は、日本酒をぬる燗でいこうか。
ん? へしこもある。飲兵衛なかせの店だ。酒がすすみすぎてしまうではないか。
へしことは福井の名物で、鯖のぬか漬けのことだ。鯖に塩を振って塩づけにしたあと、ぬか漬けにする。
そのまま生で食べてもうまいが、火であぶってもいける。お茶漬けにすると、絶品だ。
しめはへしこ茶漬けにするか。と思っていたら、二軒目においしいイタリアンに行くから、ここでお腹いっぱいにするなというお達し。
え、二軒目でイタリアンって、重くないですか?
え、ピザがうまいんですか?
え、パスタも食べるんですか?
え、え、しめに屋台のラーメンも行くんですか?
ええええっえっ!?
フォトグラファーのグルメ道、恐るべし。