アルザスワインはペアリングのワインとしても重宝しています
アルザスは冷涼なイメージのある地方ですが、実はヴォージュ山脈があり雨も少なく、暑く乾燥した土地柄で熟度の高いブドウが収穫されます。一時、ボリュームのあるスタイルが造られていましたが、今はエレガントなタイプが主流となっているように思います。
これは世界的な食のライト化傾向から、ワインもエレガントなスタイルが求められており、アルザスワインにも同様のことが言えると思います。
今回、アルザスワインをご家庭で気軽に楽しめるタイプを4本チョイスしました。まずは汎用性の高いスパークリングワインのクレマン・ダルザスです。熟成タイプとノン・ヴィンテージの2つのタイプを紹介します。
次にアルザスで味わっていただきたいのはピノ・グリ。ボリューム感があるので、魚はもちろんですが肉にも合わせられる万能選手です。
そしてアルザスといえばリースリングです。やや価格帯が上のリースリングは、豚肉のみならず、牛肉までも合わせられます。伸びのある酸や豊かなミネラルから高貴品種といわれており、抜群の料理との相性の良さが特徴です。当店でも、アルザスワインはペアリングのワインとしても重宝しています。
柑橘類と酵母のニュアンスのクレマン・ダルザス
『クレマン・ダルザス “ブリュット キュヴェ・ジュリアン” NV』(ドップ・オ・ムーラン)は、ピノ・ブランとオーセロワが各50パーセントのタイプです。これは気軽にスターターとして楽しむのがいいでしょう。
このクレマン・ダルザスは柑橘類のニュアンスと酵母の香りが特徴としてあるので、ユズ、キノコ類を使った「鯛と椎茸と柚子の重ね焼き」をご紹介します。これは鯛の切り身、シイタケとユズのスライスを重ねてオーブンで焼いたもの。味付けはシンプルに塩のみです。クレマン・ダルザスのクリーミーな質感は鯛の上品な味わいと合い、柑橘類のニュアンスがユズの香りや酸味と、酵母の香りがシイタケの風味や旨味と寄り添います。
「鯛と椎茸と柚子の重ね焼き」
1.タイ、シイタケは適度な大きさに切り、少し塩をふる。
2.下からシイタケ、ユズ、タイ、シイタケ、ユズと重ねて串をさす。
3.付け合わせのクリ、ギンナンとともにオーブンで2を焼く。
サンマと熟成感のクレマン・ダルザス
続いて『クレマン・ダルザス 2011年』(シャトー・ドルシュヴィール)です。これは、こなれた味わいで、酸が柔らかく、ほんのりとした熟成感があります。
今回はこのクレマン・ダルザスの熟成感と季節感を合わせて「焼き秋刀魚の棒寿司」を提案します。炭火で焼いたサンマと、ゴマや甘辛く味付けしたゴボウ、シイタケを合わせたすし飯を巻いて、スダチを搾っていただきます。香り豊かに焼いたサンマの脂肪分や旨味、醤油の風味が、クレマン・ダルザスの優しい酸と熟成した味わいに合います。
今日は旬のサンマを使ってみましたが、実はこのクレマン・ダルザスはシャルドネを使ったブラン・ド・ブランなので、魚や肉でも白身を選ぶといいでしょう。お肉なら鶏肉や豚肉が合います。
「焼き秋刀魚の棒寿司」
1.サンマを開いて塩をふり、炭焼きにする。仕上げに醤油を吹き付ける。
2.すし飯には煎りゴマを混ぜる。さらに醤油と砂糖で甘辛く煮たゴボウとシイタケを合わせる。
3.巻きすの上にサンマをのせ、その上に棒状にしたすし飯をのせて巻く。巻き終わったら、食べやすい大きさに切る。
旨味と甘味のピノ・グリに白和え
『アルザス ピノ・グリ ”コレクション・テロワール” 2016年』(トゥルクハイム)はピノ・グリならではのストラクチャーがしっかり感じられ、旨味や甘味もあり、さらにスモーキーなニュアンスも加わります。
ピノ・グリのペアリングには、当店では旬のフルーツを使った白和えが鉄板です。今回は秋なので「柿と鶏ササミの白和え」をお勧めします。白和えの大豆由来のスモーキーでクリーミーな質感は、クリームチーズにも似て、ピノ・グリのもつ厚みが同調します。いつもは白和えに吟醸酢を使うのですが、今回はその酢の代わりをこのピノ・グリの酸が果たしてくれます。
この白和えには鶏のササミを入れています。タンパク質のみで、脂質が入っていないので、ヘルシーな1品です。
「柿と鶏ササミの白和え」
1.鶏のササミは塩をふり蒸してほぐしておく。
2.カキは短冊切りにする。
3.白和えを作る。木綿豆腐は水切りしておく。塩、砂糖、醤油(薄口・濃口を合わせたもの)、味醂、酒、酢、白味噌を豆腐と合わせ、豆腐が滑らかになるまですり潰す。
4.鶏のササミとカキを白和えであえる。
豚肉とぴったりのリースリングの上級キュヴェ
『アルザス リースリング ”キュヴェ・テオ” 2018年』(ドメーヌ・ヴァインバック)は古くからの優良生産者のひとつ。甘くて、フルーティな味を覆す、これぞ王道のリースリングです。これは厚みと旨味がしっかりあります。さらにテロワール由来のミネラルが感じられ、鉱物的なニュアンスとしてオイリーさもあり、それが脂質と相性がいい理由です。
今回は「豚しゃぶと色々温野菜」を合わせました。アルザスの伝統料理をイメージし、日本の家庭料理で真似できるものとして、豚肉はお勧めです。
味付けのポン酢は出汁と1対1で割っており旨味もあります。またポン酢が立ち過ぎないように、ナス、トマトをバターで炒め、そのバターとポン酢が合わさりまろやかな味わいに仕上げています。フルーツトマトをアクセントに、ポン酢、豚肉の旨味が一体となり、リースリングとの相性もよくなります。
「豚しゃぶと色々温野菜」
1.豚肉と千切りにしたキャベツを湯がいて、ざるに上げておく。
2.ジャガイモは皮をむき、蒸すあるいはレンジで火入れをして角切りにする。
3.フラインパンで、1のキャベツと豚肉にナス、フルーツトマトをバターで炒める。
4.2のジャガイモと3の具材を皿に盛り付け、ポン酢(出汁とポン酢1:1で割る)をかけて仕上げる。
ご紹介したアルザスワインは、「カーヴ・ド・リラックス」のオンラインショップ「THE CELLAR」のアルザスワインフェアで購入できます。(9月30日まで)
フェア終了後も、常時10種類以上のアルザスワインを取り揃えているので、ぜひお気に入りの1本を探してみてください。
https://www.cavederelax.com/html/page229.html