淡白なあんこうを旨味を加味してリッチな味わいに
あんこうは、フランスでも冬を代表する味覚の一つだ。繊細な甘みと上質な白身魚を思わせる淡白な味わいで、オマールエビにも引けを取らない人気がある。
フランス料理では、動物性のソースや付け合わせと組み合わせることが多い。レストランローブでも、あんこうの身にベーコンとブレット(不断草)を巻いてローストし、コクのある焦がしバターソースがかけられる。
そこにエシャロットで和えたあん肝をトッピング。
淡白なあんこうの身に、ベーコンやバターソースなどの旨味が加味されて、リッチな味わいに変貌している。これは、うまい。
こうなると、やはり赤ワインだろうか。
石田氏は語る。「この料理はボルドーを彷彿させます。『牛肉のボルドレーズ』という、ボルドーの料理があるのですが、これには、エシャロットと骨髄が添えられます。そんなイメージからボルドーブレンドのワインを選びました。ボルドーでもあんこうはよく食べられています。あんこうに加え、エシャロットの風味、あん肝のコク、バターソースの深みと、さまざまな要素を持ったこの料理には、複数のブドウ品種をブレンドしたワインがしっくりきます」
もうひとひねりの面白さが、感動のペアリングを生む
やはり赤か、ボルドーか、と思っていたら、石田流は、やはり一味違った。アメリカ・ワシントン州の赤、ダンハム・セラーズ トルティーナを持ってきた。
「王道をゆくならボルドーです。しかしペアリングの醍醐味は、あまり試す機会の多くない、魅力あるワインを発見することでもあります。ソムリエおまかせコースならではのワインをお楽しみいただきたいので、少しひねってみました」
確かにワシントンは、素晴らしいメルローの産地だ。そしてボルドーブレンドの高品質なワインも生まれている。
「フルーツ、スパイス、ピメント、土っぽさ、そして樽香と、さまざまな香りが緻密な調和を作っているワインです。アメリカ太平洋側もあんこうの生息地であることも、ボルドーと近い北緯にあることも、ワシントンを選んだ理由です」
さっそく、あんこうとワインを合わせてみる。口の中でオーケストラのような、香りと味わいの調和が広がる。なるほど、絶妙の相性だ。感服。
石田博プロフィール
合同会社Soupless代表、レストランローブ ソムリエ、社団法人日本ソムリエ協会 副会長。
1969年生まれ。数々の国内ソムリエコンクールを優勝。2000年には、第10回世界最優秀ソムリエコンクール第3位。2011年 厚生労働省 現代の名工、2014年11月 内閣府 黄綬褒章受章。同年 第7回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝。2015年アジア・オセアニア 最優秀ソムリエコンクール優勝。2016年第15回世界最優秀ソムリエコンクール セミファイナリスト。
RESTAURANT L’aube
レストラン ローブ
東京都港区東麻布1-17-9 アネックス東麻布2F
TEL 03-6441-2862
contact@laube.tokyo
http://www.restaurant-laube.com/
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