懐深いカヴァ
スペイン語で「白いお城」という、エレガントな名を持つカヴァ「カステルブラン」。この可憐で美しいボトルに詰まっているのは、1908年にカヴァ発祥の地、カタルーニャのサン・サドゥルニ・ダノイアに創業したワイナリーが、その長い歴史で蓄積したノウハウと伝統、そして老舗の誇りにほかならない。
「カステルブランセコ」は、完熟した果実の芳醇さに、すっきり伸びる柔らかい酸、後味にほんのりハチミツのニュアンスも。親しみやすさと揺るぎない味わいの構成を併せ持つ1本は、前菜からメイン、デザートまで合わせられるのが特徴だ。
今回、このワインに合うレシピを提案してくれたのは、スペイン料理界のグランメゾン「レストラン サンパウ」。本国では2006年に「ミシュランガイド」で三つ星を獲得し、各国から美食家が
訪れるカタルーニャの名店。世界中から寄せられる出店のオファーを断り続けた本国のシェフが納得し、日本に出店した1軒だ。
その看板を任されている料理長の赤木渉さんは、「カステルブラン セコ」の印象をこう話す。
「味わいに程よい厚みがありながら、すっきりと爽やかで、魚や肉料理、デザートにも幅広く合わせられる。当店のレシピを参考に、ぜひご自宅でアレンジしながら楽しんでみてください」
多くの選択肢を試すのもワインの面白さ。でも、頼れるマイ定番を常備してマリアージュ探求をすれば、自然と料理の腕も上がり、おうちワイン時間がますます充実すること請け合いだ。
今回のおもてなし料理その1 冠地鶏の低温調理
〇材料【約2人分】
冠地鶏むね肉…160g(あれば地鶏でOK)
とうもろこし(ピュアホワイト)…1/2本
(ピュアホワイトのシーズンが終わりましたので、甘味の濃いとうもろこしで代用しましょう。)
花ズッキーニ…2 個(もしシーズンから外れるようであれば、無くても可)
白隠元豆…100g(一晩水に浸ける)
たまねぎ(みじん切りにする)…1/4個分
ローリエ…1 枚
卵……1 個
カンポットペッパー、オリーブオイル、塩、コショウ、エディブルフラワー…適量
(カンポットペッパーは最高峰とされるカンボジアの胡椒。普通の粒胡椒で良い)
A サンファイナ
*サンファイナはカタルーニャ地方の夏野菜の煮込みです。トマトが多めのラタトゥイユをイメージされると良いでしょう。
トマト水煮缶……400g (大体1缶)
白ゴーヤ、枝豆(塩茹でして外皮と薄皮を取る)、みょうが、コリンキー、島らっきょう、パプリカ(赤・黄)、ナス…各適量
*揃えられる野菜数種類を5ミリ角にしたものを2カップほど用意する。
B ソース
丸鶏、鶏ガラ、手羽先、手羽元(オーブンで焼く)…適量
たまねぎ、にんじん、セロリ(粗く刻む)、ローリエ、タイム…各適量
*市販されている顆粒ではない液体の鶏ガラスープを代用してもOK。
C イタリアンパセリのオイル
イタリアンパセリ(葉の部分をちぎる)、オリーブオイル……各適量
〇作り方
1. サンファイナを作る。
Aの野菜を5㎜角に刻み、オリーブオイルで炒めてトマト水煮缶を加え、塩、コショウを振って20分ほど煮込む。茎を切り落とし、オーブンで2~3分温めた花ズッキーニにサンファイナを詰める。花ズッキーニがない場合はサンファイナをそのまま付け合わせる。
2. ピュアホワイトは塩茹でして粒を削ぎ、表面をバーナーで炙って塩とオリーブオイルを振る。実を外すのが難しい時は1cm厚さの輪切りにしましょう。
3. 白隠元豆のペーストを作る。
鍋に湯を沸かし、ローリエを加えて水で戻した白隠元豆を入れ、15 分茹でる。フライパンにオリーブオイルを熱し、玉ねぎを色が付かないよう弱火で炒める。白隠元豆と煮汁50mlを加えて煮詰め、ミキサーにかけて裏ごしする。水戻し茹でる時間が無いときは水煮缶で代用しましょう。
4. ソースを作る。
鍋に湯を沸かし、B を入れて2時間煮込んで濾し、とろみがつくまで煮詰める。使う量はほんの少量なので、市販の液体鶏ガラスープを使ってもよいでしょう。
5. イタリアンパセリのオイルを作る。
オリーブオイルとイタリアンパセリを2:1 の割合で混ぜ、80℃に加熱し、熱いうちにブレンダーで攪拌する。80℃は火傷の危険性があるので、慣れない方は粗熱を取ってからにしましょう。
6. 卵黄のソースを作る。
卵を65℃の湯に45 分漬け、殻をむいて卵黄だけ取り出す。卵黄を5%の塩水に5時間漬け、取り出してよく洗い、水気を切って裏ごしする。
※こちらは温泉卵の卵黄に塩を加えて混ぜたもので代用可能。
7. 鶏むね肉をフリーザーバッグに入れて空気を抜き、58℃の湯に20 分漬ける(浮いてこないよう空気はしっかり抜く)。取り出して塩、コショウを振り、オリーブオイルを熱したフライパンで皮目から強めの中火で焼く。皮に焼き色が付き、パリッとしたら、取り出してカットし、皿に盛って6を塗り、カンポットペッパーを散らす。1,2,3を付け合わせ、4と5をかけてエディブルフラワーを飾る。
今回のおもてなし料理その2 リンゴのエスプーマ
〇材料
Aリンゴのピューレ(250 ~ 300g 分)
王林(皮をむいて芯を取り、8等分に切る)…500g
グラニュー糖…50g
バター、ブランデー…各適量
Bリンゴのキャラメル(2.5㎝の半球シリコン型約20 個分)
紅玉(皮をむいて芯を取り、0.5㎝角に切る)…200g
グラニュー糖…100g
シナモンスティック…1/2本
クローブ……2粒
リンゴのピューレ…50g
Cリンゴケーキ(30×25㎝のトレイ1枚分、4㎝の丸型抜きで20枚分)
紅玉(皮をむいて芯を取り、0.5㎝角に切る)…2個分
薄力粉…340g
グラニュー糖……280g
牛乳……220ml
オリーブオイル…200g
卵…190g(約3個)
ベーキングパウダー…3g
レモンの皮…1/2個分
Dリンゴのムース(直径5 センチのシリコン型、又は直径5センチのセルクル20 個分)
リンゴピューレ…200g
クリーム…140ml(45~47%のフレッシュクリーム)
グラニュー糖…60g
卵白…50g
レモンジュース…30ml
ゼラチン…6.5g(板ゼラチン)
E 飾り
ホワイトチョコ
F シードルソース(約20 人分)
シードラ(シードルで代用可)…300ml
水…125ml
グラニュー糖…40g
ハチミツ…35g
キタサンガム(なければ総量の0.3%のゼラチンで代用可)…適量
G ジャックローズ
カルバドス…100ml
水…50ml
グラニュー糖…20g
グレナデンシロップ、ライムジュース、ウォッカ、赤色の食用色素…各少々
(グレナデンで充分色が付くので食用色素はなくても大丈夫。)
〇作り方
1. リンゴのピューレを作る。
Aをトレイに入れ、蓋をして190℃のオーブンで45分焼き、ミキサーにかけてから裏漉しする。
2. リンゴのキャラメルを作る。
グラニュー糖、シナモンスティック、クローブを鍋に入れて火にかけ、飴色になったらリンゴを入れ、歯ごたえが残る程度に火を入れる。
1と合わせ、2.5 センチの半球シリコン型に詰めて冷凍庫に入れ、凍ったら型から外してさらに冷凍しておく。
3. リンゴのケーキを作る。
Cを混ぜてクッキングシートを敷いたトレイに入れ、160℃のオーブンで25 分焼く。粗熱が取れたらクッキングシートをはがし、4㎝の丸型(セルクル)で抜く。
4. リンゴのムースを作る。
リンゴピューレを湯煎で温め、水で戻したゼラチンを入れて溶かす。レモンジュースを加え、氷水にあてて濃度が出るまで冷やす。クリームでホイップクリームを、卵白とグラニュー糖でメレンゲを作り、ホイップクリーム、メレンゲの順にリンゴピューレに少しずつ加え、泡をつぶさないように混ぜ、絞り袋に入れる。
5. 飾りを作る。
ホワイトチョコレートを湯煎(45 ~ 50℃の湯)で溶かし(30℃に冷やし)、絞り袋に入れて氷水の中絞り、固まったら氷水から引き上げ、ペーパータオルで水気を拭く。
6. シードルソースを作る。
シードラを鍋に入れて沸騰させて火をつけ、アルコールを飛ばす。火が消えたら水、グラニュー糖、蜂蜜を加え、再沸騰させる。ゼラチンを使う場合は水に戻したゼラチンをこの段階で加えてから冷やす。キサンタンガムを使う場合は冷えてからハンドブレンダーで混ぜ、濾す。
7. ジャックローズを作る。
水とグラニュー糖を鍋に入れて沸騰させ、冷えたらその他の材料を加える
8. 盛り付け。
リンゴムースをシリコン型、もしくは直径5cmのセルクルに半量詰める。凍ったリンゴのキャラメルを真ん中に詰め、上からリンゴムースを絞る。抜き型で抜いた林檎ケーキで蓋をし、冷凍させる。凍ったら型から外し、冷蔵庫に移して3時間ほど解凍する。皿にリンゴのムースを乗せ、シードラソースを流す。ホワイトチョコレートの枝を上に刺し、銀箔を飾る。提供時にジャックローズをソースに数滴垂らす。
(家庭用にするときは6・7を省いても充分満足できるので、まずは5までチャレンジしましょう!)