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写真=河野敦樹
肉をもっと食べよう!
肉が体にいいということに確信をお持ちになったのはいつですか?
「肉はふたつの要素があって、つまり肉の要素と脂質の要素ですね、肉の要素がいいことはわかっていた。だって、タンパク質と鉄、牛肉だと亜鉛もリッチで、そもそも現代人はタンパク質欠乏のきらい(注1)があるので、『肉をもっと食べよう』とまわりには言っていたんです。でも脂肪が問題だった。ところが、飽和脂肪酸、ようは動物の脂肪は植物性の油に比べて心臓、血管にそんなに悪くない、という考え方が出てきた(注2)」
そうなんですか。
「あとは『グラスフェッド(牧草飼育)』との出会いですね。2010年にアメリカで開かれていた機能性医学の学会に行ったら、いきなり『グレインフェッド(穀物飼育)』、『グラスフェッド』という言葉が、『オメガ3脂肪酸は体にいい』という講演の中に出てきたんです。穀物を食べていると穀物よりの、牧草を食べていると牧草よりの油のバランスになって、グラスフェッドの牛肉にはオメガ3とオメガ6が1:1という理想的な油のバランスで入っている(注3)、と。『あ、これなら牧草牛は健康増進のサプリになる』と感じたんです」
日本でも牧草飼育が大学の畜産科などで試みられている。写真は北海道の八雲町にある北里大学獣医学部の八雲牧場の様子。写真=河野敦樹
牧草飼育じゃないとダメですか。
「オメガ3とオメガ6のバランスという、欲張りなことまで言えば牧草牛じゃないとダメですけれども、まず肉を食べる栄養的な需要はあるということが重要です。動物性脂肪も体に悪くないという前提ができているので、積極にとるべき食材だと考えています」
タンパク源として、なぜ肉がよいと考えているのですか?
「遅延型食物アレルギーの検査をすると、乳製品とたまごはアレルギーの陽性率が高い。魚に関しては養殖物だと問題があるかもしれない。それを毎日食べるように、と勧めることは医者としてはできない。なるべくアレルギーが少ないものということで、じゃあ牛とか動物の肉を、というのがひとつの根拠です」
ワイン好きはタンパク質を
牛肉を食べると、どういういいことがあるんですか?
「いい質問ですねぇ。グラスフェッドの牛を食べると、オメガ3が上がる。オメガ3とオメガ6のバランスが悪いと、基本的には体に炎症が起こってくるので、各種動脈硬化、老化、がんとかうつとか、いろんなリスクが上がってくるんです。あとオメガ3自体にもアレルギーを起こさないとか、いろんな性能があることがわかってきている」
牧草牛を食べていれば、がんにもうつにもならない。老化もしにくい、と。
「それだけを食べていれば、ですね。ほかの食材の影響も大きいので、たとえばあげ物とかサラダ油とかをとると、油のバランスは崩れてしまいます」
理想は牧草牛だけを食べる?
「肉には食物繊維がほぼないので、食物繊維はとりましょう。野菜ないし大豆、糖質オッケーのひとは大麦とか玄米とか、食物繊維がリッチな穀物を食べましょう」