「カルカッソンヌを見ずして死ぬな」という言葉もある、城塞都市カルカッソンヌ。全長3kmにおよぶ城壁、そしてその内部にある、ロマネスク建築とゴシック建築が融合したサン・ナゼール・バジリカ聖堂、中世の城 コンタル城は定番の観光地。都市周囲に広がる城下町にはラングドックワインの醸造所も。
この城塞都市の城塞内に5つ星ホテル「ホテル・ド・ラ・シテ」がある。
2021.3.17
「カルカッソンヌを見ずして死ぬな」という言葉もある、城塞都市カルカッソンヌ。全長3kmにおよぶ城壁、そしてその内部にある、ロマネスク建築とゴシック建築が融合したサン・ナゼール・バジリカ聖堂、中世の城 コンタル城は定番の観光地。都市周囲に広がる城下町にはラングドックワインの醸造所も。
この城塞都市の城塞内に5つ星ホテル「ホテル・ド・ラ・シテ」がある。
お城風テーマパークに夢はたくさん詰まっているが、ユネスコ世界遺産に認定された本物の城塞は、次元の異なる雄大なロマンにあふれている。
戦の只中でも長期籠城が可能、世界最強かつ最大のひきこもり空間であるカルカッソンヌ城塞都市は、中世に建立されて以来、崩れ落ちることなく今日に至る。
歴史的価値が高く、世が世なら立ち入り禁止でもおかしくない城塞ながら、今や観光都市として栄え、世界中から多くの観光客を自由に受け入れる平和な時代となった。
カルカッソンヌは山と山との合間、大西洋と地中海の中間、と交通の要所になりやすい地勢である。つまりは領土拡大を狙う諸国の攻撃ポイントにもなりやすく、難攻不落の城塞は必要に迫られて生み出された。
17世紀に入るとカルカッソンヌが国境紛争地帯から外れ、城塞の利用価値が消滅。放置されている間には、「ここにちょうどいい建材があるぞ」と城壁の石が次々持ち運ばれて危機的状況に陥ったが、19世紀の修復作業が功を期した。
周囲を2周する全長3000メートルの外壁も復元。ほぼ現在の姿へ。『進撃の巨人』に登場する城壁のモデルでは、とささやかれるほど堅牢な外観を取り戻した。
21世紀に入り、より丁寧な修復作業を心がけているのが城塞都市内の5つ星ホテル「ホテル・ド・ラ・シテ」だ。
ホテル・ド・ラ・シテ(Hôtel de la Cité)
Place Auguste-Pierre Pont, La Cité 11000 Carcassonne
Tel. +33 468719871
www.cite-hotels.com
クラシックルーム 239ユーロ~
外観は城塞都市に溶け込み、内部はネオゴシック、アールデコのデザインを取り入れたスマートなラウンジや客室。
どこかがウッカリ壊れると、ステンドグラスなら職人がやってきて手直しし、壁なら元の部分と馴染むよう石でも木でもアンティークのものを探してくる。
「歴史的な魂を守るための努力です。結果、修復箇所一つひとつが愛の証になります」とホテルの信条を語ってくれたのは、ディレクターのサム・リシェさん。
「そして地元のワイン、これもまた大事な歴史的遺産だと思っています。」
ひと昔前の〝南仏ワインは量で勝負、質は二の次〞というネガティブなイメージを、一部の人はなかなか捨てきれていない。しかし
「広大な土地ですから、量が多いだけでなく、白、赤、ロゼ、スパークリング、とバリエーションも広い点に注目していただきたいです」とリシェさん。
とくに外国人客は、ワインリストを手にするとブルゴーニュやボルドーなどのページで視線が留まる人ばかり。せっかく超高級5つ星ホテルでサーブしてもまったく遜色ないオクシタニー産ワインが次々登場しているのだから……と、ダイニングではソムリエが積極的に地元ワインを薦めてきた。
眼下の畑で獲れたブドウのワインを飲み、食事を楽しみ、そのまま就寝する城塞生活。「人生でやりたいことリスト」に追加して!