1日1万円くらいから乗れる
お金の話からはじめて恐縮なのだけれど、1週間の休みがとれて、家族で国内旅行をしよう、などとなったら、どのくらいの予算を覚悟するだろう? 交通費、宿泊代、食事代、お土産に、どこかにいったら入場料に……考慮すべきことは、おそらく多岐にわたり、なかなか重たい出費がシミュレートされるのではないだろうか。
ところが、ここで客船によるツアー=クルーズを選択すると、もしかしたら、ぐっと割安に、かつ楽しい休日を送れるかもしれない。というのも、クルーズは日本ではまだ利用者が少ないそうだけれど、日本の外では、賢い旅の選択肢として、メジャーな存在なのだ。
5,000人程度の人が乗船できる客船というのがこの世にはある。うち、1,000人程度は船のスタッフで、かつ、船のキャパシティには、ある程度余裕をもたせるそうなので、お客さんの数は2,000人から3,000人くらい。日々、港から港へ、年中、海を旅している。港につくたびに、お客さんを入れ替える。お客は、船の長い航海のうちの数日、お金を払って船に乗る。船はその間、移動手段、宿泊施設、娯楽施設、レストラン等を兼ねる。そして、それら移動、宿泊、娯楽、食事は、料金のなかにふくまれている船旅のコストは、1泊1万円くらいからある、というのだ。
ちなみに、世界最大の客船、「シンフォニー・オブ・シーズ」であれば、お客さんだけで6,000人ほど、船のスタッフは2,175人とのことで、8,000人以上乗れてしまう客船も世界に4隻あるという。
たとえば東京在住であれば、晴海か、横浜から出発して、神戸とか九州の港に行って、また晴海や横浜に帰ってきたりする。寄港地では、もちろん下船して、街で遊んだりしてもいい。船のなかでは、朝、昼、晩の3食がついていて、プールやジム、スパ、バーが利用できて、手品とか演劇とかミュージカルとかいったショー、子供向けのイベント、大人向けの料理教室などが連日開催されている。追加料金(50ドル程度のようだ)を支払えば、普通より豪華なレストランで食事をするとか、エステに行くとかいった、より上質な船上サービスをうけることもできる。いずれにしても、船のなかのサービスはかなり充実している。
日本発着以外にも、フライ&クルーズといって、海外まで飛行機でいって、行った先でクルーズをするという方法もあり、こちらは、さらに色々なコースがあるという。
「そう多くはないのですが、フライ&クルーズであれば早期予約による割引がある場合や、ご家族であればお子様は無料など、さらにお得なサービスが用意されている場合もあります」
とのことなのだ。
船ってもっとお高いイメージがありました。
船旅=クルーズのキホン
基本としておさえておくべきは、船にはクラスがある、ということだ。金額は固定ではなく、変動することもあるけれど、1日1万円くらいからさがせるのは、「カジュアル船」というクラス。その名の通り、カジュアルに、気楽に過ごしてください、という船なので、プール、レストラン、バーが船内におおく、カジノやショッピングモールなど、大型のアミューズメント施設があり、ショーやイベントもおおい。服装の規定などはほぼなく、そこまでかしこまっている必要はないので、子連れのファミリーにはもっとも向く。
もうひとつ上のクラスが、「プレミアム船」。乗客2に対してスタッフ1くらいの割合になり、カジュアル船比で、食事やサービスの質が、ワンランクあがる。好みによってカジュアルにもフォーマルにも過ごせる。このクラスは1日1万5千円から2万円くらいから。今回、船内を見学した「セレブリティ・ミレニアム」もこのクラス。
最上級が「ラグジュアリー船」とよばれていて、乗客対スタッフの比率は2:1以下。他のクラスだと追加料金が発生するサービスが最初から料金にふくまれている場合もあり、一流のホテルのようなきめ細やかなサービスや、ゆったりした部屋が用意される。
ただ、今回、船旅のキホンを教えてくれた、クルーズスタイル2018横浜の主催者によると
「ラグジュアリー船のなかにはドレスコードがあるものもあり、食事などではブラックタイが基本になる場合もあります。特別感はありますが、フォーマルなので、ちょっと肩がこるかもしれません」
とのことだ。そして、初のクルーズとしてオススメなのは、船のクラスに関係なく、最も安いプランの部屋だそうだ。安い価格になると、部屋が船の内側で、窓がなくて、ミニマムなサイズになったりするのだけれど
「船外にでなくても、船内には居心地のいい場所がたくさんありますし、スペースには余裕があります。部屋を使うのは、身支度や睡眠など、ごく僅かな時間だけになりがちです。特に初クルーズであれば。お金をかけるのであれば、ディナーを豪華にするなど、船内のオプションのサービスを利用したり、部屋ではないところを思い切り楽しむほうがよいとおもいます」
そして、経験者にも
「クルーズになれた方にも、たとえば、カジュアル船で最高級のプランを選ぶ、という手もオススメできます。実はカジュアル船にもラグジュアリー船に匹敵するようなバトラー(執事)サービスなどがオプションで用意されている場合もあり、船自体は大きく、施設も充実しています。自分好みの船旅にカスタマイズしやすいのです」
また、船には、アメリカン、イタリアン、フレンチなど、雰囲気があり、デザインや食事に個性がある。
「船によってはアミューズメントパークのように船内アトラクションが充実していて、1週間程度では楽しみきれない、というようなものもあります。何度も同じ船に乗る、特定の船のファン、という方もいらっしゃるんですよ」