負けず嫌い
屈託のない笑顔を見せたかと思えば、ふと知的な視線を投げかける。短いインタビューのなかでも豊かな表情を見せてくれる彼女に、みんなが夢中になるのは無理もない。谷まりあさん。
人気ファッション誌の専属モデルにして、現役大学生。一浪した後、志望の早稲田大学に入学したという努力の人である。
「基本的に負けず嫌いなので、自分が一度やろうと思ったけどことは、できる限りちゃんとしたいなと思っているんです。もちろん勉強を続けるのは時にはしんどかったですし、浪人中にはもうやめたいと思ったこともありました。両親も『やめたかったらやめていいんだよ』と言ってくれましたけど、でも、わたしの中にはその選択肢がなくて。大学に入るというのは自分で決めたことだから、最後までやりぬきたかったんです」
はたから見れば、ものすごく「頑張っている人」。大学の講義はほとんど休まず出席し、モデルとして日々の撮影をこなし、最近ではテレビ番組の収録もあったりして、とにかく大忙しだ。
「『頑張っているね』ってひとにいわれると、ああそうなのかな、って。そのぐらい、頑張っているかどうかを自分では感じていないんです(笑)。毎日のスケジュールはタイトだったりしますけど、私、何もせずに時間がない経ってしまうのが許せないタイプなので、今がちょうどいいのかもしれません」
自己分析では、どっしり構えているタイプ。あまり感情的にならず、ひとに流されることもなく、慌てふためくこともまずないという。
「自分の中にスイッチのオン/オフがないんですよね。いつも一定な感じ。最近では『世界の果てまでイッテQ!』の“出川ガール”の私が谷まりあだと思われていることが多くて、実際にお会いすると『案外落ち着いてるね』って言われたりもするんですけど、自分では切り替えている意識がないんです。その場合その場で自然にそうなっているというか。
逆に私は自分のペースを見失うとダメになるんです。ああしろこうしろと言われると崩れちゃう。だから、自分らしさを忘れないことだけ意識しています。ただ、ガチガチにこだわっているわけではないです、そのへんはわりとルーズなので(笑)」
今がいちばん!
自分以上にも以下にもならないこと。それを心がけているから、まりあさんはいつも自然体でいられるのだろう。頑張るけれど、無理はしない。
「落ち込むことももちろんいっぱいあるんですよ。ひとと比べるのは好きじゃないですけど、どうしても周りには比べて自分がダメだと思うことが出てくるじゃないですか。特にモデルを始めた最初の頃は、周りがみんなかわいくて、スタイルが抜群で、それに比べて私は……とコンプレックスの塊になっちゃってました。
でも、自分は自分だし! って思いなおして、切り替える努力をするようになったら、仕事もより楽しめるようになったんです」
彼女が自然体でいられるのは、実は努力の結果なのだ。
「私、すごく食べるんですよ。食べることが大好き。友だちにも驚かれるんですけど、同年代の女子の中ではかなり食べること方だと思います。職業柄、体型に気を遣わなければならないので、大好きなパンやスイーツはグッと我慢することも多いですけれど、お肉やお魚、お野菜はたっぷりいただきます。あと、お酒も。お酒そのものよりも、お酒の場が好きなんですよね」
そのお酒の場で交わされる会話の中に、彼女が何より大切にしている“自分らしさ”を磨くヒントがあるのだという。
「ひとと会うのが好きなんです。ひとと会うことで、今まで気づかなかった自分の一面を発見できるような気がして、それがすごく楽しい。お酒があることで、より深い話ができたりもしますしね。もちろん翌日が撮影だったら、あまり飲まないようにしますけど、ただ、ひとと一緒に楽しむ場で、これは食べられないとか、太るから控えるとか言いたくないんです。 モデル同士だったらいいけど、そうじゃなければ、相手の方に失礼だと思うので、私はたくさん食べますし、飲みます(笑)。家に帰ってから、お風呂でせっせとむくみとりマッサージをすればいいんです!」
自立心が強く、努力を苦にせず、時に男性的なまでに頼もしい。だけど、いつも朗らかで、持ち前のゆるやかな空気感は周りをどこかホッとさせる。不思議な魅力をもつ22歳。
「今のこの状況が2年前には想像してできなかったぐらいハッピーで充実しているので、将来も同じように今から想像できないぐらいいいものであればいいなと思います。私、過去に戻りたいと思ったことが一度もないんです。10年後も20年後も“今がいちばん!”って思っていられるのが何より幸せなことだと思うにので、そうなれるように頑張っていきたいですね」