11月18日(木)。今年もワインのお祭り、ボジョレー・ヌーヴォー解禁日がやってくる。
しかし、実は、この15年、ボジョレーでのヌーヴォーの生産量は約半分にまで減った。それは、このイベントやワインの人気がなくなった、というわけではなく、新酒ではないボジョレー産ワインが注目され、生産者も、より、そちらにフォーカスしているから。
そこで今年はヌーヴォーだけではなく試してみたいボジョレーの個性豊かなワインの生産者を紹介する。
2021.11.9
11月18日(木)。今年もワインのお祭り、ボジョレー・ヌーヴォー解禁日がやってくる。
しかし、実は、この15年、ボジョレーでのヌーヴォーの生産量は約半分にまで減った。それは、このイベントやワインの人気がなくなった、というわけではなく、新酒ではないボジョレー産ワインが注目され、生産者も、より、そちらにフォーカスしているから。
そこで今年はヌーヴォーだけではなく試してみたいボジョレーの個性豊かなワインの生産者を紹介する。
ブルゴーニュのマコネー地区のすぐ南から始まるワイン産地ボジョレー。一口にボジョレーといってもそのワインには、段階があり、価格と味わいに違いがある。
生産地域によって南から、ラベルにBeaujolaisと表記される「AOP ボジョレー」、大都市リヨンがあるローヌ県とその北のソーヌ=エ=ロワール県の38の村にまたがる「AOP ボジョレー・ヴィラージュ(Beaujolais Villages)」、さらにその北、ブルゴーニュのマコネーエリアまでの範囲に広がる10の産地名がラベルに書かれる「クリュ・デュ・ボジョレー」と3段階に区分けされ、後者ほど高級・高品質になってゆく。
新酒には、単に「ボジョレー・ヌーヴォー」と呼ばれるものと「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」との2ランクがある。こちらでも、ヴィラージュのほうが高級だ。
この地域の新酒は、醸造方法がマセラシオン・カルボニックというちょっと特別なもの。赤ワインだけれど、渋さは少なく、甘くてチャーミングな香りと、爽やかな味わいが基本的な特徴。
とはいえ、最近は個性的なワインが出始めて、勢いがあるのがこの地域の特徴。そこで今回は、ブルゴーニュの大手が手掛けるものも、伝統の地元生産者も、ヌーヴォーもそれ以外も、選んで間違いのない個性の異なる10のワイナリーを紹介する。
ジョルジュ デュブッフ|Georges Duboeuf
suntory.co.jp/wine/special/kaikin/
ボジョレーといえばまずはココ!
ジョルジュ デュブッフはまさにボジョレーのデパート。ボジョレーがワイン産地として世界的に知られるようになった1970年代から、先頭に立って活躍し、高いワイン評価能力でも知られて『ボジョレーの帝王』という異名をとった。そのジョルジュ デュブッフが創設したブランドが彼の名そのままの「ジョルジュ デュブッフ」。
創始者が2020年に他界した現在でも、ボジョレーを代表する造り手としてボジョレーワインを牽引している。ヌーヴォーだけでも多数のラインナップを誇り、赤、白、ロゼ、オレンジ、さらに、ワンランク上のボジョレー・ヴィラージュ、ボトルサイズ違いなど、選び放題。ヌーヴォー以外ももちろん充実しており、ムーラン・ナ・ヴァン、フルーリー、サンタムールという、クリュ・デュ・ボジョレーに属するボジョレーでも最高峰の畑のブドウを使ったワインが揃う。
アルベール・ビショー|Albert Bichot
kirin.co.jp/alcohol/wine/nouveau/
かわいいデザインのロゼボトルにも注目!
1831年に設立した、ブルゴーニュの名門ワイン商。現在は、北はシャブリ、南はブルゴーニュを越えてボージョレにまで畑を所有し、また非常に評価の高い5つのワイナリーも所有する。新酒においても世界的に評価が高く、カジュアルなペットボトル入りのものから、古木のブドウのみを使ったもの、フィルターをかけていないもの、酸化防止剤を使わなかったもの、といった個性派までが揃う。
ラブレ・ロワ|Laboure-Roi
sapporobeer.jp/wine/beaujolais/
日仏女性醸造家のコラボヌーヴォー登場
ラブレ・ロワは1832年創業の、歴史あるワイン商。現在はワインメーカーとしてブルゴーニュを拠点に屈指の規模と品質を両立させている。
ボジョレー・ヌーヴォーについては、今年もラインナップ豊富。注目は、サッポロ岡山ワイナリーのワインメーカーとして主にグランポレールブランドの醸造に携わってきた久野靖子氏とラブレ・ロワのチーフワインメーカー、ブリジット・プッツ氏が力を合わせて造っているヌーヴォーがあるところ。原酒をブレンドの段階でフランスから日本に空輸して、オンラインでブレンドを行っているのだ。
その他、ラインアップは多彩だけれど、そのなかには10L入りの木樽もあるのにも注目!
ジョゼフ・ドルーアン|Joseph Drouhin
m.drouhin.com/jp/
ボジョレーのパイオニア
家族経営のブルゴーニュ最大規模の造り手。ワイン商としてスタートして、現在、ワインの造り手としても100周年を迎えている。ブルゴーニュの中心地、ボーヌを拠点に、各地に特級、一級畑を複数所有し、ドルーアン兄弟が先頭に立って、ナチュラルな農業で土地の美点を表現したワインを造る。
ブルゴーニュのイメージが強いけれど、実は、1950年代からボジョレーの知名度向上のために活動していたボジョレーワインのパイオニア。ボジョレーの各所に優れた畑を持ち、そこには樹齢が高いブドウ樹も。ブルゴーニュとはまた違ったボジョレーの個性を表現したワインを楽しめる。
ルイ・ジャド|Louis Jadot
nlwine.com/news/2021070601.html
ブルゴーニュの大手が同じ哲学で造るボジョレー
ブルゴーニュの名門、ルイ・ジャド。ボジョレーではワンランク上のボジョレー・ヌーヴォーとして、ボジョレー・ヴィラージュのブドウに特化した、「ボージョレ・ヴィラージュ・プリムール」と名付けたシリーズを毎年リリースしている。プリムールは意味的には新酒だけれど、熟成前のワインを樽から味見するようなワイン。ブルゴーニュに特級、一級畑を多数持ち、自然栽培、天然酵母での醸造などで、それぞれの土地を尊重し、その個性を表現するルイ・ジャドの哲学はボジョレーでも変わらず。
ピエール・フェロー|Pierre Ferraud
shop.jal.co.jp/s/beaujolais_nouveau/
ガストロノミーに愛されるボジョレーワイン
1882年の設立のピエール・フェローはフランスでは1,500軒以上の3つ星を含むレストラン、ビストロ、ワインショップで扱われ、ロバート・パーカーに「年によるむらがなく、この地方の信頼できる素晴らしい生産者」と称賛され、JAL国際線ファーストクラス、ファーストクラスラウンジで20年以上提供されているという、とにかく評判のいいワイナリー。日本での人気も高く、生産本数の少ないものは早々に売り切れてしまう。
今年は飛行機と鶴がデザインされたJALショッピング限定ボトルも人気。
アンリ・フェッシ|Henry Fessy
asahibeer.co.jp/enjoy/wine/beaujolais/
高品質ボジョレーの名手
口ひげのロゴがかわいいアンリ・フェッシ。だけれど、中身は本格派。1888年に創業し、10あるボジョレーの最上位畑、クリュ・デュ・ボジョレーの9つに自社畑を所有するハイクオリティ ボジョレーのスペシャリストだ。約80ヘクタールの自社畑の半分以上は樹齢50~75年の古木。ヌーヴォーにも1ランク上のものが揃うけれど、ぜひ、ヌーヴォーではないボジョレーにも注目してもらいたい。
ドメーヌ・デ・ニュグ|Domaine des Nugues
引く手あまたにつきレア物
1968年が初ヴィンテージ。21.5haの畑は、40区画に分かれて、それぞれの区画のブドウを混醸することで複雑性をワインにもたらしている。ブドウをナチュラルに、しかし、長期熟成も可能なしっかりした骨格のあるワインに仕上げている。
ヌーヴォーでも評価は高く、かの名店、タイユヴァンのオーナーだったジャン・クロード・ヴリナ氏がこよなく愛したボジョレーの銘柄としても知られている。
シャトー・カンボン|Chateau Cambon
terravert.co.jp/winery/france/bourgogne/chcambon/-m-lappiere-jc-chanudet/
自然派ボジョレーの原点を継承
現在、世界的に有名な自然派ワインの造り手たちが影響を受けた、自然派ワインの父として伝説的な存在、マルセル・ラピエール。2010年にこの世を去ったマルセルだけれど、その妻マリーと息子マチューとがその遺志を継いでいるのがこのシャトー・カンボン。ボジョレー・ヌーヴォでも、熟成して美味しくなる、と言われ、もちろんヌーヴォー以外のボジョレーも造る。自然派ワイン好きにはぜひ試してほしいボジョレーだ。
ルー・デュモン|Lou Dumont
nouvellesselections.com/winery/detail.php?post_id=1000104
ブルゴーニュの人気日本人醸造家のボジョレー・ヌーヴォー
ブルゴーニュで活躍する日本人醸造家 仲田晃司のブランド「ルー・デュモン」によるボジョレー・ヌーヴォー。アジア圏を中心に販売されている彼が造り、あるいは厳選したワインは非常に人気で、なかなか手に入らないものも多いけれど、ボジョレー・ヌーヴォーなら、チャンスあり!
ルロワ|Leroy
www.goodlive.co.jp/brand/leroy/
ブルゴーニュの神様によるボジョレー
ルロワと聞いて、背筋が伸びる思いを抱かないワイン好きはいないだろう。なにせ、オーナーのマダム・ラルー・ビーズ・ルロワは、ブルゴーニュ随一ともいわれるテイスティング能力で尊敬され、かつ、醸造家でもあり、かの「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ」の共同経営者としても知られた人物なのだから。そんな彼女が選んだボジョレーが、ルロワのボジョレーだ。