シャンパーニュ メゾン シャルル・エドシックから、1981年のヴィンテージシャンパーニュ『ラ・コレクション・クレイエール 1981』とシャンパーニュ地方で造られるスティルワイン『コトー・シャンプノワ』が登場。いずれも、限定的な商品で日本での販売本数は非常に少ない。
シャルル・エドシックから希少なシャンパーニュとコトー・シャンプノワが登場
シャンパン・チャーリーも限定復活
1本100万円のシャンパン・チャーリーも。『ラ・コレクション・クレイエール』
シャンパーニュの世界には、3つのエドシックがある。
それが、『モノポール・エドシック』『パイパー・エドシック』『シャルル・エドシック』。これらのうちで、本家と分家の関係にあるのが、1785年を出発点とするモノポー・エドシックとパイパー・エドシックで、シャルル・エドシックはもうひとつの分家にあたり、1851年にシャルル=カミーユ・エドシックが興したメゾン。
2011年からパイパー・エドシックとシャルル・エドシックはフランスのラグジュアリーグランドの集合体EPIグループの傘下になっているのが、いささか分かりづらいところ。
創業者シャルル・エドシックは、シャンパーニュの歴史にのこる起業家でありパイオニア。粋人としても、旅人としても知られ、彼のシャンパーニュは世界各国の王侯貴族や権力者を魅了した。イギリス、アメリカでとりわけ人気があったシャルル、英語読みでチャールズは「シャンパン・チャーリー」がそのあだ名。彼を主人公とした『シャンパン・チャーリー』というミュージカルもある。
1860年代当時はまだあまり注目されていなかったという、シャンパーニュ地方の地下にある紀元前のゴロワ・ローマ時代につくられた採石場の跡(クレイエール)がシャンパーニュにとって優れた熟成倉庫となることに注目し、1867年にそれを購入した先見の明の持ち主でもあり、手間と時間を贅沢にかけたシャンパーニュを、ブランドのアイデンティティとしてる。
そのクレイエールにて、長期熟成されたシャンパーニュの蔵出し、といったイメージで毎年登場する、希少なオールドヴィンテージシャンパーニュのシリーズが『ラ・コレクション・クレイエール』だ。第5弾となる今回はそもそも収穫量が少なかった1981年ヴィンテージ。40年の時を経て、いかなる熟成を見せているのか。ラインナップは、通常の750mlのほか、1500ml、3000mlの3種と、750mlのブラン・ド・ブラン。
また、クレイエールで棚卸し作業をしている際に、偶然発見されたという、1985年ヴィンテージの『シャンパン・チャーリー』の3000mlが、2020年にデゴルジュマンされ、この『ラ・コレクション・クレイエール』のひとつとして、ほんの数本ながら限定販売となる。
コトー・シャンプノワも登場
シャンパーニュ地方で造られるスティルワイン、コトー・シャンプノワもシャルル・エドシックから登場する。
シャルル・エドシックの現在のシェフ・ド・カーヴ シリル・ブランは、ボルドーのシャトー・オー・ブリオンで醸造家のキャリアをスタートさせ、2000年から15年間、所属していたヴーヴ・クリコでも、ロゼワイン用の赤ワインを担当していたなど、シャンパーニュの名人でありながら赤ワインも得意とする人物。その彼の赤ワインがいよいよ市場にお目見え、となったのだ。
シリル・ブランが、コトー・シャンプノワのリリースを考えた第一の要因は、温暖化の影響でブドウの熟度があがったこと。
今回リリースされたのは、アンボネイのピノ・ノワールを使った赤ワインで、シリル・ブランは、それほど多くはないシャルル・エドシックの自社畑のなかででも、いくつかの区画で、スティルワインとして通用しうる栽培区画を見つけているという。今回のピノ・ノワールも、ロゼワイン用のものではなく、赤ワイン用に仕立て直されたもの。
斜面の畑であり、風が常に吹いていることから、ブドウを樹で長く成熟させることができ、2019年が恵まれた年であったこともあって、少量ながらリリースに踏み切った。
スタイルとしては、軽快。収穫後8℃から10℃の環境で、2、3日置かれたというブドウは、ポンピングオーバーやピジャージュという果皮の成分を果汁になじませる作業をおこなっているということで、色合いは濃厚。しかし味わいが渋いことはなく、苦味と酸味がバランス良く続く。華やかな香りのなかに、わずかなスモーキーさを感じられるのも、ピノ・ノワールというブドウのキャラクター性だ。
何年も寝かせるようなワインとしては想定しておらず、すぐに飲んで美味しいワインに仕上げたと、シリル・ブランは言う。
高品質なワインなのはもちろんだけれど、数量が極めて限られていることもあり、高級品。これを手に入れることができた幸運の持ち主は、これからの時期、ワイン好きの人にプレゼントして、自分も一緒に食事とともに楽しむ、というのが正しい楽しみ方だろうか。
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